所有者不明土地の再エネ活用 改正法成立
27日の参院本会議で、持ち主が分からない土地(所有者不明土地)を公共目的で利用できる期間を、現行法の最長10年から20年へ延長する「改正所有者不明土地特別措置法」が全会一致で可決、成立した。現行の10年では、土地の整備費や施設建設費用を回収できないといった指摘が出ていた。これにより、金融機関からの資金調達も容易になるとみられる。
最長20年への延長は土地利用者が企業やNPOなど、民間事業者に限り適用。
また、土地の円滑利用を目的に、改正法では公共の目的で整備できる用途を広げ、防災施設や再生可能エネルギー発電設備なども対象とする。発電施設の整備はこれまで出力1000キロワット以上の大型施設に限っていたものの、条件を緩和し小規模な太陽光発電なども認めるとした。
所有者不明土地は、少子高齢化や相続意識の希薄化などに伴って年々増加傾向にあり、全国の所有者不明土地は2016年時点で九州を上回る規模の約410万ヘクタールに上る。必要な対策をとらなければ2040年には北海道の面積に迫る約720万ヘクタールに増える見通しだ。放置により、公共事業や地域の再開発の障害となりえるだけでなく、税の滞納などで累計約6兆円の経済的損失が生じるとの予測もある。
▼所有者不明土地
不動産登記簿等の所有者台帳により、所有者が直ちに判明しない、又は判明しても所有者に連絡がつかない土地
[参考]
衆議院 第208回国会「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」
国土交通省 「所有者不明土地の利用の円滑化等に関する特別措置法の一部を改正する法律案」を閣議決定
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