金融庁が上場企業を対象に、気候変動に伴う業績への影響等を開示義務付け

2021.10.06

金融庁は上場企業など約4000社を対象に、気候変動に伴う業績への影響を開示するよう義務付ける案の本格検討に入った。
開示が求められるのは、企業が排出する温暖化ガスの排出量や気候変動による事業や財務に及ぼす影響、リスクなど。
開示内容は金融当局も加盟する金融安定理事会(FSB)が設立した「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(以下TCFD)の提言に基づくとみられる。

 

今回示された開示案は、TCFDの提言に基づき法的な拘束力を持つ有価証券報告書に記載を求めるもので、開示の該当企業は財務情報や事業リスクに加え、気候変動リスク等を記載する見通しです。また、今年6月には金融庁と東京証券取引所は企業統治指針(コーポレートガバナンスコード)の改定とあわせ、市場区分の最上位市場とされる「プライム市場」に上場する企業へ自主的な開示を求めていましたが、今回は一歩踏み込んだ議論が行われているとみられます。

世界的に気候変動リスクの開示が求められるなか、TCFDにおける国内の賛同企業は現在、519団体(2021年10月06日時点)にまでのぼり、世界最多の賛同数です。TCFDが推奨する開示項目は、ガバナンス・戦略・リスク管理・指標と目標の下記4項目となっています。

 

各国の政府が気候変動リスクの開示を検討するなかでTCFDの提言に沿った内容が国際基準となりつつある昨今、日本政府もこうした動きに合わせ早期に方向性を定めるため検討を進めている模様です。しかし、開示は投資や融資を促す重要な役割を担うため企業にとって影響は大きく、特に化石エネルギーへの依存度が高い日本企業は国際社会で苦境に立たされる可能性が高いとみられるます。

 

[参考]
TCFD公式WEBサイト https://www.fsb-tcfd.org/supporters/
TCFDコンソーシアム https://tcfd-consortium.jp/



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