各地域の一般送配電事業者は、電力の安定供給を目的として電力供給区域の需給バランスの制御、周波数の維持、運用システム管理などの系統安定化業務(系統運用)を日々行っています。そして、この業務を行う上で、電力の需要と供給を一致させるために必要な能力を「調整力」といいます。
2016年4月の事業ライセンスの導入以降、一般送配電事業者は原則として公募の入札(調整力公募)で調整力を調達してきました。しかし、2021年4月からは、送配電部門の中立性を確保し、より柔軟な調整力の調達や取引を可能とする、全国一体的な市場「需給調整市場」が開放されます。
需給調整市場では、今まで一般送配電事業者が担っていた全ての需給調整機能を広域かつ多事業者が一体となって行う形態となることから、一般送配電事業者は調整力の確保がより効率的になり、価格競争が促進されることで調整力コストの低減が可能となります。そして、サプライヤー(発電事業者、小売電気事業者)には予期できない需給変動時に供給不足が起きないよう、今まで以上に需要計画を適宜見直し運用することが求められます。
また、需給調整市場の創設は、エネルギーリソース価値の最大化に加え、再生可能エネルギー導入促進への貢献といったSDGsやカーボンニュートラルの取り組みにつながるものとして、社会的に取引の活性化が期待されています。